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column 2016.10.31
 
第1回 「京都らしい京都」西陣
水口貴之(51Action)
 

通りの両側に町家がズラッと並んでいる風景が多く残っている「西陣」エリアをご紹介します。

既存の建物を活かした商店やカフェが並ぶ西陣の街並み。

京都は、築数百年を超える京町家の横にビルやマンションが建っていたりして、実は凸凹な街の姿をしている。京都を代表する建築物、京町家についても、飲食店や旅館として一棟貸しされていることも多く、「人が暮らす場所」というよりは「商いの場所」としての印象が強い。しかし今回紹介する西陣は、街並みの統一感や手頃な京町家に住めるという点も含めて、多くの方が想像する「京都らしい暮らし方」ができるエリアかもしれない。

モノづくりの街としての歴史

言うまでもなく西陣織の産地としても有名。名前の由来は、応仁の乱の時(1467年)に西軍が陣を敷いたからと言われており、京都盆地を見下ろせる緩やかな丘の上に位置している。上京区から北区にかけて広がる京都盆地でもやや北のエリア。駅で言えば市営地下鉄の「鞍馬口」が近い。

京都の俯瞰地図に、西陣のエリアを落とし込みました。(画像 ©2016 Google、地図データ ©2016 Google、ZENRIN)

平安遷都前に既に織物づくりでは知られていた西陣はれっきとしたモノづくりの街だ。 カッシャンカッシャンという機織りの音が、耳に心地よい。昔ながらの風景が残っていて、両側に町家がズラッと並んでいる通りが多く残っているのは京都でもこの辺りだけ。

西陣の中心地。狭い路地の両側に連棟の町家が並ぶ。

もともと観光地ではないため、条例で残した景観でもなく、商用に外観を故意にしつらえた京町家でもない、リアルな京都の生活の風景。付近には北野天満宮があるが、公共交通がバスだけなので、観光地化され過ぎずに今の形が残ったのかもしれない。

引き継がれる建物たち

築約80年の銭湯を改装したカフェ「さらさ西陣」。

壁一面のマジョリカタイルが壮観な店内。

銭湯だったため天井が高く、開放感がある。

現在は、小規模だが個性的なショップや、ものづくりの工房など、クリエイティブでユニークな人や店が集まっている。テナントとして普通に出店を考えれば、人が多い中心地を考えがちだが、ここで店を出す人たちはそれとは別の優先順位を持っている。

そこにあるモノを受け継ぐ精神が共有されており、既存の建物を活かした店舗が目立つ。大正12年築の公衆浴場・船岡温泉(重要文化財)があり、今でも現役だ。そしてそこから歩いて5分のところの、同じ時期に建てられたもう一つの歴史的銭湯は、銭湯としての役目は既に終えたものの建物がなくなることを危惧した人によって引き取られ、現在はカフェとして再生されている。今や人気のスポットになっている。

ゲストハウスが好きな人の間でも有名な月光荘。

ゲストハウスという名前がまだ一般化する前の2005年にオープンし、伝説のゲストハウスとして知られる「月光荘」も西陣にある。1泊2,000円。タオルなんかもバーッとベランダに干してあったりと、リアルな生活感を醸し出しているおり、街になじみながら滞在することができる。

街を行き交う人たちもどこかゆったりと落ち着いていて、肩肘張っていない感じが良い。

著名なアーティストの画集や写真集を数多く刊行する出版社「FOIL」も、 東京から京都に拠点を移した際、このエリアを選んだ。

古道具を扱う喫茶店、「コイコイ商店」。

町家でしか出せない味わい

築100年を越える京町家のリノベーション事例。

京町家に住む場合気になるのが、建物の状態だろう。築年数が経っているほとんどの町家は柱や床が老朽化している。しかし、それを上手に修繕し風合いを活かして改装することで他のどんな建物にも出せない空間ができあがる。

西陣エリアの物件情報

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